2017/05/31

オフコース「さよなら」 解釈

ごきげんよう、紅月です。
一日()に何度更新すれば気が済むのでしょうね。

オフコースの「さよなら」という歌をご存知でしょうか。
小田和正が歌うオフコースを代表する曲の一つと言えると思います。
「さよなら さよなら さよなら
 もうすぐ外は白い冬
 愛したのはたしかに君だけ
 そのままの君だけ」
タイトルでピンと来なくても、このサビは聴いたことがあるのでは。
この歌の解釈についてです。



わたしは子どもの頃から慣れ親しんだこの歌詞で、少し引っかかる部分がありました。
「僕のかわりに君が
 今日は誰かの胸に 眠るかも知れない」
この部分です。
言葉にはうるさいわたしです、「君が今日は、僕のかわりに誰かの胸に」と並び替えるのは釈然としません。
強調のための体言止めなど、言葉の並びには意味があるものです。

先ほどピーンと電球アイコンが点いたかのようにひらめきました。
むしろなぜ今までこの発想に至らなかったのか。
ずばり、男の浮気がきっかけで別れる、です。

純粋な子ども時代に聴いたせいか、彼女が未練はあるものの何らかの理由で別れを切り出し、男はまだ好きでその想いを歌ったものだと思い込んでいました。
もしかしたら、その理解でもいいのかもしれません。
しかし、わたしは上の歌詞の部分で先に述べたような矛盾を感じていたのです。

男が実際に彼女一筋なら、彼女が別れからほどなく他の男と関係を持つかもと考える状況は、彼女にすでに意中の相手がいる場合だと思います。
でも、「君」は別れ話の際に「泣かない」と強がりながら涙を流すのです。
彼女からすれば、大好きな「僕」の愛が得られないなら恋人でいる方がつらいから別れるという話でしょう。

「僕」が女性と関係を持ってしまったと解釈すると、「僕のかわりに君が」は文字通りに受け取れます。
「僕ではなく誰かの胸に、君が」ではなく、「僕ではなく君が、誰かと」の方です。
ほかの部分の解釈も齟齬は生じませんし、むしろしっくり来る箇所も多いです。
「僕は思わず君を 抱きしめたくなる」は原詩では「抱きしめそうになる」だったそうですが、どちらにしろ「僕」は「君」を抱きしめられない。
なぜなら、彼には罪悪感があるからです。
彼らの「自由」は、互いに認識に差があったことの象徴であり、男からした自由は女の思う自由よりも奔放で、「君」は孤独を感じていたから「このままひとりにして」という言葉になるのでしょう。
「僕がてれる」のも、浮気相手に見つかるリスクを避けていたのかもしれません。
彼女一筋男なら萌え要素みたいな部分が、一気に打算的になりますが、それでもピタリとはまってしまいます。
「そのままの君だけ」も気になる部分ではありましたが、男の浮気を前提として深読みすると、男の奔放さに孤独を感じた女が次第に可愛げのない態度を取りがちになる、それで男の愛も女から離れていく、そんな情景なのかもしれません。

意地の悪い解釈になってしまったかもしれませんが、これで歌詞全体の意味をはっきりと読み取ることができたので、わたしは満足です。
この歌詞は男性の手による男性視点のものですが、もともと思っていた設定と今回の設定、どちらで解釈しても「僕」がダメ男になります、歌詞は綺麗なのに。
女性の視点で解釈するから女性寄りになってしまうだけなのでしょうか。

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