2017/04/19

光と影と風の音 - EdEn

調子に乗ると色々とついやりすぎてしまう紅月です。

ついでなのでちょっと前にやって一目惚れしたゲームも紹介しちゃいます。
こちらはかなり最近出たゲームです。

紹介する作品はEdEn、制作者は思考実験Nというサイトで活動されているなしのもの様。
光と影が織りなすコントラストが独特な、シンプルな探索系謎解きゲームです。
30分足らずでクリアできる短編で、仕掛けもごくシンプルなものばかり、雰囲気を楽しむことこそが醍醐味でしょう。
シンプルな代わりに作者のこだわりが随所に見受けられます。
まず、言葉とBGMが一切用いられていません。
少女を操作して仕掛けを解き、工場?からの脱出を目指すのですが、ストーリーらしいストーリーもありません。
何も語られず、聞こえるのは風の音、少女の足音、そんなものばかりです。
そして姿形こそ不気味だけれど、手助けをしてくれたりどこか愛嬌のあるモノたち。
演出も丁寧に細かく作られており、エレベーターの描写や黒い人の動作は個人的に特に気に入っています。
作者様の作品愛に存分に浸れる素晴らしい作品だと思います。

このゲームはダウンロードサイトの紹介にあるスクリーンショットに惹かれるかどうか作品に惚れるか否かとほぼイコールだという気がします。
なので、ぜひ一度調べてみて、感じるものがあれば必ずやってみてください。
きっと好きになるはずです。

続きにさらに突っ込んだ感想を置いておくので、ひと通りプレイしてからの方がより一層楽しんで読んでいただけると思います。



EdEnはストーリーがありそうで無いかもしれない、考察の難しいゲームです。
まさに雰囲気ゲーム、とも言えるでしょう。
黒い影のようなモノ、機械のような模様が入った半透明のクモ、彼らは一体何者で、少女はなぜあんな場所にいたのか。
普通ならそういう考察をしようとなるところですが、それよりも抗いがたい魅力があるのは影のようなモノの行動です。

クモに威嚇されてビクッと後ずさったり、少女が部屋に入ってきた途端に一目散に逃げていったり、見た目に反して臆病な性格がうかがえます。
檻の中に入ってしまった時は檻を叩くような行動をしつつ、少女が近づくと隅でうずくまる様子からも、少女に怯えていることがわかりますが、この時に限らず少女から彼の者にアクションを起こすことはありません。
敵でないとわかって安心したのか、その後は少女が通れるように道を作ってくれ、攻略順によっては少女の後を追うようにしてくる場面もあり、何となくですが恋する内気な少年のように見えてきてしまいます。
リンゴの木の傍でぼーっとしている黒い影から離れるのが寂しいと感じたのはわたしだけではないはずです。

影のこうした行動もそうですが、このゲームは演出も作り込まれています。
エレベーターの鏡に自分が映ったりガラス張りの外の景色が昇降で変化したりは、何度見ても「良いゲームだなあ」と感じる部分の一つです。
黒い影のさらに細かな部分にも目を向けると、座り込んでいる時は主人公が遠ざかると目を細めますが、近づくとぱっちり見開いて主人公を目で追います。
クモが音を鳴らしている間もびっくりしているのか目を開けます。
トリガーを細かく設定しているのですね。

わたしはこのゲームにいずれ外伝のような続編のようなものが出たら嬉しいと密かに考えています。
もちろん理由はもっとあの黒い人を見たいからです。
本当に良い作品にめぐり逢えました。
あなたにとってはこのゲーム、いかがだったでしょうか?

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