おねショタ萌えにいくらか理解を示せるようになってくると年を取った感じがします。
さて、最近は多いですが、まだ読み終わっていない作品の紹介です。
演劇をやっていた者としては、演劇人や演技が好きな人にぜひ読んで欲しいと思います。
『はるか17』は講談社『モーニング』に連載された山崎さやか作の漫画です。
就職活動に奮闘するもなかなか内定がもらえない宮前遥は、ある弱小芸能プロダクションのマネージャー希望として面接に臨みます。
しかし、手違いでタレントとしての人生を踏み出すことに。
それも本来の22歳ではなく17歳の「はるか」として。
芸能プロダクション「童夢企画」で、最初は望んでもいないタレントとしての仕事に戸惑う遥ですが、根が真面目で努力家なので、自分にできることを精一杯やろうと努めるようになります。
そんな遥は知らず知らずの内に周りの人間も動かしていくのです。
芸能界の闇と称される部分も描きながら、遥や童夢企画の社長その他の個性あふれる面々が魅力的に表現されている『はるか17』。
前半は遥の気づきや成長を追い、後半になるにつれて彼女の言葉や態度が周りに影響を与える展開が見受けられるようになっていると思います。
もとがタレント志望ではない普通の就活生だったことから、遥の感覚は読者とあまり変わりません。
むしろ有名人に憧れる一般人よりも美容や流行などにも鈍感で、たとえば化粧も最低限の身だしなみとしか見ていません。
その代わり、彼女の強みはその真面目さです。
わたしは彼女の性格にひどくデジャブを感じる方なので、彼女に共感できる人がどのくらいいるのか推測するのは難しいのですが、勉強ができるタイプで挫折する主人公の需要は実際どうなのでしょうか。
とにかく、クソ真面目とも言えるほど愚直な遥は、就職活動では全く相手にされませんでした。
ですが、放り込まれた芸能界で知らないことできないことにも真剣に取り組む態度には好感が持てます。
それでも結果を出さなければどうにもならないのが世の常ですし、そこはセンスの問題だろうと思われるかもしれません。
実際、作品中の彼女は運が良すぎるようにも見えますし、常人にはないセンスの塊だからこそ成し得たのではないかと思われる場面も多々あります。
しかし、遥にセンスがあるとしたらそれは生まれ持ったオーラのようなものではなく、今までの努力の蓄積によって得られたものだと思います。
それは想像力です。
わたしは想像力を先天的なものだとは思いません。
想像力は経験と知識によって裏付けられるものです。
遥にはお茶の池女子大学を優秀な成績で出るだけの教養があります。
それを彼女は無意識でも存分に発揮しているのです。
はるかの5年の年齢詐称設定も実は人生経験のギャップを効果的に表すのに一役買っていると思います。
そして彼女は、外面を良くして見栄を張ることをしません、と言うか正直なのでできないのです。
逆に自分がこうと思ったことを素直に表現することができるとも言えます。
想像力と正直さの二つが彼女の演技を支えているとわたしは思います。
『はるか17』は、真似することができるかどうかを置いても、演劇やそのほか演技をする人間に刺さる場面がいくつもあると思います。
ネタバレしないように書くのが苦手で内容があまり紹介できていませんが、本当におすすめの漫画です。
単行本は19巻完結となっており、現在は店頭で揃えることは難しいと思いますが、もし見かけたら手にとって見てください。
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