外が暗くなるに任せて作業を続ける私と違って、几帳面な人なのだ。
日が落ちてくるとカーテンを引いて部屋の電気を点ける。
彼がパソコンで資料を作っている間、私はベッドで本を読む。
音楽が彼のイヤホンから漏れ出ている。
「そんな大音量で聞いてだいじょうぶ?」
首を少し傾げてから、右耳だけイヤホンを外して振り向く。
「何か言った」
「イヤホン音漏れてる」
「ごめん」
「私はいいけど、ちょっと音大きすぎるんじゃない」
彼はぴんと来ないらしい。
こういう所はひどく鈍感だ。
「耳に悪いよ」
「じゃあ」と言って、彼は音量を下げて作業に戻る。
合間に時々ブラウザゲームを確認している。
1時間は経った頃、資料は完成した。
「お疲れさま」
「お腹すいた、コロッケ食べよう」
反射的に腕時計を見る。
夜の9時だ。
「買って来ようか」
「いい、行く」
一緒について行きたかったが、何も言わない。
彼は私と外出するのを嫌がるから。
彼の部屋で一人で待っていると変な気分になる。
ここは私が今いるべき場所で、でも私の場所ではない。
一人暮らし用の部屋なのに私には広すぎるように思える。
この部屋に二人でいることに慣れ過ぎているのだ。
栞代わりにページに引っ掛けていた指を外して、部屋を見回してみる。
家探しをする趣味は無いけれど、一人にされるとむずむずして気になってしまう。
絶対に手は出さない。
見ているだけなのに、まるでへそくりでも探しているような背徳感と罪悪感に襲われる。
玄関で鍵を開ける音がして
「ただいま」
彼が帰って来た。
コンビニの袋から取り出されたコロッケの匂いが漂ってくる。
「美味しそう」
「美味しい」
コロッケを食べている彼の方に手を置いて後ろから覗き込む。
「…食べる?」
「ううん」
お腹は空いていない。
ただ彼とくっついていたいだけだった。
「眠い」
彼の肩に頭を預ける。
「こら、ここで寝るんじゃない」
「え~じゃあベッドで寝る」
「おい、もっとあかん」
「ふふっ」
こうして平和な夜は更けていく。
***○。***○。***○。***○。
ずっと以前に1行だけ書きかけた小品を、大元になる設定だけ取って40分ほどで形にしたもの。
裏設定ほとんど無し。
タイトルは相変わらずセンス無し。
いっそタイトルにだけ1日掛けても良さそうな気もしてきます。
ただ今回の題はもしかするとほかの時間帯とシリーズ化も狙えるかもしれません。
また、名前を重視するわたしとしては、こういう小品で人物名を付けたくなかったり。
なぜなら気合を入れた作品で意味がある名前を付けようとした時、似た名前になるのは避けたいからです。
裏設定ほとんど無し。
タイトルは相変わらずセンス無し。
いっそタイトルにだけ1日掛けても良さそうな気もしてきます。
ただ今回の題はもしかするとほかの時間帯とシリーズ化も狙えるかもしれません。
また、名前を重視するわたしとしては、こういう小品で人物名を付けたくなかったり。
なぜなら気合を入れた作品で意味がある名前を付けようとした時、似た名前になるのは避けたいからです。
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